円高が世界恐慌に与える影響

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円高が世界恐慌に与える影響

フランスやドイツの金融機関がおかしくなる可能性も十分に考えられる。
ユーロ危機が財政危機から金融危機に拡大し、それが複合して世界同時恐慌に陥る危険性もあるのだ。
日本だけが「世界同時不況」という現実に気づいていない
中長期的に見ると、戦後の持続的好況を背景に、ヨーロッパでは統合が進んできたが、リーマン・ショック以来の世界経済の変調で、それが狂いはじめた。
ユーロ危機は構造的な側面を持っており、拡大することはあっても、しばらく収まることはなく、当然、ヨーロッパの経済は低迷する。
そして、それはユーロだけでは終わらない。アメリカも主要な景気指標である雇用統計や小売売上高が思うように伸びておらず、経済成長率が2%に届きそうもないなど、景気停滞の局面に入っている。
世界経済の牽引役である新興国は、欧米の需要に支えられているため、欧米の景気の影響を受けやすく、中国やインドでも成長にブレーキがかかっている。
欧米、そして新興国。まさに「世界同時不況」であり、出口が見えていない。

これが「円高」と「世界同時恐慌」の真実だ!

一方、日本では、2011年は東日本大震災や原発事故によってマイナス成長となったものの、2012年は復興需要によって2%程度の成長が予測されている。
ヨーロッパがマイナス成長、アメリカも2%に届きそうもない中、先進国では日本の景気が当面いちばんよさそうだが、皮肉にもそれがゆえに、世界的な景気の低迷が意識されていない。
現実には、世界経済の状況が悪いために輸出は伸びておらず、日本の景気回復は「復興需要」という特需に支えられた、一時的なものなのである。
2011年来の円高について、「ユーロはギリシャ問題を抱えているし、米ドルにも不安がある。三大通貨の中でいちばん『まし』な円が買われているだけだ」という「不美人投票」で説明されるが、この論調は間違っていない。

しかし、世界同時恐慌という火種が熱を帯びていることまでは、官民ともに認識できていないのだ。
「新興国の株価暴落」が恐慌への引き金となる
すでに世界同時不況に入っており、金融危機どころか、下手をすると恐慌になりかねないというのが私の認識だ。
2012~13年は、第二次世界大戦後、「最悪の年」になる可能性もある。
1929~33年には史上最大規模の世界恐慌が起きた。引き金となったのは、1929年9月にアメリカの株式が暴落したことである。
1920年代のアメリカは、RoaringTwenties(Roarは「叫ぶ」の意)などとも言われ、株価も高騰し、好景気の中で踊って浮かれているような状態だった。
そうして拡大してきたアメリカのバブルが崩壊し、ニューヨーク・ダウが大暴落。これに端を発し、世界恐慌に陥った。

頭に入れておきたいのは、そのときのアメリカが新興市場だったことである。現在の新興市場と言えば中国だ。
国は過去2年程度バブル気味であり、中国経済がかつてのアメリカのようにおかしくなると、世界恐慌の可能性が出てくる。

中国の大不況が世界に連鎖する

最近、中国の経済成長率は、2%程度から8%程度に下がり、中国の温家宝首相は2012年の成長目標を7%台に引き下げたと発言している。
9%から7%になるだけでも相当な減速だが、もしそれが4~5%に落ち込めば大不況であり、世界恐慌が現実味を帯びてくる。
中国が過去にバブルだったことは間違いなく、不動産価格はピークを打っている。

株価はすでに下落局面に入ってきているし、世界経済が変調を来せば中国の輸出産業は低迷し、企業も破綻するだろう。
中国の財政は悪くないため、しばらくは財政出動も可能であり、政府は公的投資や内需刺激を行なうと表明しているが、どれくらいの効果があるかは未知数である。
中国の不動産価格と株価は、当面注視しておく必要がある。
中国経済が本格的に崩れると、世界経済はかなり深刻な状況になる。そして、その可能性は決して低くはない。
中国と比較されることの多いインドでもインフレが問題になっており、特に食料品の価格が上がっている。景気刺激策を打てばインフレが加速する恐れがあるため、政府はそれができず、成長率は下がってきている。

日本は重大な局面に気づいていない

前述のとおり、日本では恐慌の危険性や、すでに世界不況がはじまっているという認識が広がっていない。
「景気回復は復興需要という特殊事情によるもので、それが途切れれば世界不況に呑み込まれる」という危機意識が広がっていないのだ。
これが「円高」と「世界同時恐慌」の真実だ!
もともと日本の思考はかなり内向きであり、世界経済の現状をきちんと認識している政治家や経営者は少ない。
「たしかに日本は、GDP(国内総生産)に占める輸出入の割合(貿易依存度)が8%足らずで、中心は国内市場である。
中国の貿易依存度は約8%、東南アジア諸国では100%近い国があることを考えれば、日本には比較的世界経済の影響を受けにくいという性質があることはたしかだが、そのため世界経済の動向に敏感ではなかったし、それはいまでも変わっていない。